買い物やサービスの利用履歴から算出される「信用スコア」とは?
2019年には、買い物やサービスの利用履歴から算出される「信用スコア」の活用が活発になるかもしれません。NTTドコモやヤフーやLINEなどが、信用スコア事業に参入することを表明しているからです。
信用スコアとは?
信用スコアとは、個人の買い物履歴やクレジットカードの利用状況などから、その人の信用力を数値化するもので、すでにアメリカや中国などでは信用スコアが普及しています。
例えば、アメリカでは、クレジットカードやデビットカードを使って期日通りに支払うと、個人信用情報機関が提供する「FICOスコア」という信用スコアが上がります。クレジットカードの使い方によって、個人の信用力が判定されるのです。
FICOスコアは、クレジットカードやローンの支払い履歴や、借り入れの状況などをもとに算出されますが、FICOスコアが低いと賃貸物件が借りにくくなったり、就職に不利になることがあります。逆にFICOスコアが高いと住宅ローンの金利が低くなるなどのメリットが得られます。
日本でも信用スコアのサービス提供を発表する企業が表れており、2019年からは徐々に信用スコアを活用する動きが広がりそうです。
NTTドコモは携帯料金の支払状況などから信用スコアを算出
NTTドコモは、「ドコモ レンディングプラットフォーム」の提供を2019年3月より開始すると発表しています。ドコモの携帯料金の支払状況などから個人の信用スコア(ドコモスコアリング)を自動的に算出して、その信用スコアをもとに融資の判断などを行うサービスです。
ドコモスコアリングの算出には、ドコモ回線の契約内容・利用期間・料金の支払履歴・コンテンツサービスの利用状況・金融サービスの利用状況などが利用されます。
金融機関は、この信用スコアを活用して顧客に対して無理のない融資を提供することができ、顧客側も自分の状況に合わせた無理のない資金計画をたてられるようになります。
ヤフーはインターネット上の行動履歴をもとに信用スコアを算出
ヤフーは、インターネットでの買い物履歴などから個人の信用スコアを算出・提供する事業への参入を発表しています。
Yahoo! JAPAN IDに紐づいている個人の買い物履歴や検索履歴など、インターネット上の行動履歴を分析して、そのIDを利用する個人の信用スコアを100点満点で点数化します。インターネット上の行動履歴には、ヤフーショッピング・ヤフーオークション・ニュースの閲覧履歴・検索履歴などが含まれるようです。
信用スコアの提供を受けた企業は、顧客の信用力に合わせたサービス提供が可能となります。信用スコアが高い顧客に対しては、保証金を免除したり、審査を簡略化したり、ローン金利を低くしたり、予約の優先、割引などのメリットを提供できるようになります。
もしかすると、将来的にはYahoo!パートナーにもこの信用スコアが活用されて、信用スコアを高くすると婚活や出会いに有利になるという時代が来るのかもしれません。尚、信用スコアの作成や金融機関などの企業への提供は、本人の同意なしには実施しないことになっています。
LINE上で収集した行動傾向などから信用スコアを算出
LINEは、メッセージアプリLINE上で収集した行動傾向などから、個人の信用スコアを算出・活用する事業に参入することを発表しています。サービス開始は2019年上半期の予定です。
この信用スコアは「LINEスコア」と呼ばれ、ユーザーが入力した属性情報、LINE上での行動傾向などをもとに算出されます。算出された信用スコア(LINEスコア)は、個人向けローンサービス「LINEポケットマネー」で、ローン審査などに利用されます。
信用スコア(LINEスコア)の算出は、本人の同意なしには実施しないことになっています。
J.Scoreの「AIスコア」は個人を特定しない算出方法
ソフトバンクとみずほ銀行によって設立されたJ.Score(ジェイスコア)は、すでに個人の信用スコアを活用しています。
J.Scoreが提供する「AIスコア」は、ビッグデータとAIで個人の信用力をスコア化します。AIスコア診断でいくつかの質問に答えるだけで、信用スコアが算出されます。
生年月日・最終学歴・収入などの入力は必要ですが、氏名や住所などは入力不要で個人を特定しない算出方法となります。
メルカリは取引データをもとにした信用スコアをつくりたい
メルカリは、フリーマーケットアプリのメルカリ上の取引データをもとにした信用スコアをつくりたいと考えているようです。つくられた信用スコアは、シェアリング・レンタル・予約などのサービスに利用されることが想定されています。